一方向に傾斜がついている片流れ屋根。どの屋根よりもシンプルなつくりをしているところに特徴があります。今回は、そんな片流れ屋根のメリット・デメリットをご紹介します。注文住宅やリフォームで片流れ屋根の設置を考えている方はぜひお役立てください。
片流れ屋根とは?
まずは片流れ屋根がどういうタイプの屋根なのか簡単にご説明します。冒頭でも軽く触れましたが、片流れ屋根は一方向に傾斜がついている形状をした屋根のことです。かつては物置や小さめの建物で取り入れられることが多い屋根でした。しかしそのシンプルな形やスタイリッシュな見た目から、最近では注文住宅などで用いられるケースが増えています。特に平屋で片流れ屋根が採用されることが多くなってきています。
片流れ屋根のメリット
では、片流れ屋根にはどのようなメリットがあるのか。ひとつずつ見ていきましょう。
・建築費用を抑えられる
片流れ屋根はつくりがシンプルな屋根です。屋根に接合部がなく、雨どいも一方向につけるだけなので、一般的には材料費や工事費がほかの屋根に比べてリーズナブルな傾向にあります。また比較的メンテナンス費用も安価になる場合が多く、コストを抑えやすい屋根として知られています。
・屋根裏の空間を有効に活用できる
片流れ屋根を取り入れた住宅の屋根裏には、片側が大きく開けた空間が生まれます。その空間を大容量の収納スペースとして活用することができます。また外壁に窓を設置できる構造をしているため、寝室などの住空間として使うことも可能です。さらに天井まで吹き抜けにすることで開放感のある空間をつくることも。このようにアイデア次第でさまざまな空間づくりができるところは片流れ屋根ならではのメリットと言えます。
・ソーラーパネルを設置しやすい
片流れ屋根は屋根の全面がひとつの方向を向き、面積も広めです。ソーラーパネルはそうした屋根のほうが設置しやすく、ほかの屋根に比べて搭載量を多くすることができます。屋根が南向きであれば、日当たりも良くなるため、発電効率も上がります。あらかじめソーラーパネルの設置を検討しているなら、屋根の傾きを調整することで、さらに発電効率を上げることができます。
片流れ屋根のデメリットとは?
続いて片流れ屋根のデメリットをご紹介します。
・雨どいの負担が大きくなりやすい
片流れ屋根の雨どいは基本的に一方向につけます。そのため、ほかのタイプの屋根と比べて雨どいにかかる負担が大きくなります。雨どいに不具合があれば、そこに溜まった雨水が建物自体にダメージを与えてしまう可能性も出てきます。片流れ屋根を設置した場合は、定期的に雨どいのメンテナンスをおこなう必要があります。
・片側の外壁が劣化しやすい
軒先がない、もしくは短い住宅は外壁に当たる風雨や紫外線の量が多くなるため、劣化が早くなります。片流れ屋根は傾斜の関係上、片側の軒先が上向きになることが多いです。そうすると、風雨や紫外線の影響が大きくなりやすいので、外壁の劣化が早くなる場合があります。ここも片流れ屋根のデメリットと言えます。
・屋根の方向次第では日照を得られない可能性がある
メリットの項目でソーラーパネルを設置しやすいことをお話ししましたが、屋根の方向によっては思うように日照を得られず、ソーラーパネルを設置してもあまり効果を期待できない場合があります。たとえば、屋根の傾斜が北向きであると日当たりが悪くなり、発電量が低下します。片流れ屋根を取り入れるときは傾斜の方向に注意が必要になります。
まとめ
片流れ屋根には、ほかの屋根よりリーズナブルに設置できる部分や、アイデア次第で屋根裏の空間を有効に活用できるといった魅力があります。しかしその一方で、設備への負担が大きくなりやすいなどのデメリットもあります。片流れ屋根に興味がある方は、長所と短所を踏まえたうえで設置を進めていきましょう。