日本の一戸建て住宅の大半を占める木造住宅。新しい住まいとして検討している方は多いのではないでしょうか。ですが、そのときに気になるのが「寿命」のこと。木造住宅はどれくらい住み続けられるものなのか。本記事で解説します。
木造住宅の寿命は20年~30年?!
一般的に木造住宅の寿命は20年と言われています。これは、耐用年数の22年を参考に算出されたものと考えられます。ですが、耐用年数は減価償却の計算で使われるもの。寿命とは別物で無関係です。つまり、木造住宅の寿命は20年ではありません。実際に住み続けられる年数は、材料やメンテナンスなどによって変動し、だいたい30年~80年とされています。
80年もたさずに解体するケースが多い
最長で80年と言われている木造住宅の寿命ですが、実際にはその前に解体されることが多いようです。これには、さまざまな事情によってリフォームより建て替えが選ばれることが関係しています。たとえば、老後の暮らしを快適なものにするためにリフォームしようとしたときに、配管などの水回りの移動が難しかったり、そもそも住宅の構造上の問題でリフォームができなかったり。また、住んでいる地域が都市開発エリアで立ち退きを余儀なくされた、災害が起きたなど、外的な要因で現在の住宅を解体するケースもあるようです。
木造住宅の寿命を延ばし、長く住むためのポイント
住宅の寿命に大きく影響するのがメンテナンスです。メンテナンスをおこなうことで、屋根や外壁、内装、設備などの劣化具合をしっかりと把握できるようになります。それが、適切な時期での修繕や入れ替えを可能とし、住宅の寿命を延ばせることにつながります。
それぞれの箇所や設備などの寿命は10年程度とされています。少なくとも10年に1回はメンテナンスを実施することがすすめられます。10年より短い5年に1回というスパンでメンテナンスができると、より住宅の寿命を長持ちさせやすくなります。
ただし、各設備の劣化のスピードは使用されている素材やグレード、さらには住んでいるエリアによって異なります。たとえば、海に近い住宅ではそうでない住宅に比べて、潮風の影響により鉄部が錆びやすくなる、というわけです。
また目で見る以上に劣化が進行しているケースも多々あります。それを見逃してしまうと、のちに思わぬトラブルに見舞われる可能性も出てきます。そのためメンテナンスはセルフでおこなわず、基本的には専門家に依頼しましょう。そして劣化が激しい箇所や設備が見つかったら、優先度を決めて修繕や入れ替えなどの対策をしていきましょう。
長く住むためには将来を見据えた建築計画も重要に
いくら定期的にメンテナンスをしても、年数を経ていくと同時に建物は劣化していくものです。そのため、場合によってはリフォームが必要になることもあります。ですが、間取りの関係でリフォームが難しく、結局、建て替えになってしまうというケースもあります。将来を見据えて建築計画を立てていくことで、このリスクを抑えることができます。
たとえば、将来的にリフォームすることを業者に相談したうえで水道管や電気線を配置すれば、のちに配管・配線の関係でリフォームができなくなることはありません。また、あらかじめバリアフリーに特化した住宅にしておけば、そもそも老後に快適な暮らしを送るためのリフォームをしなくてよくなります。
住宅の寿命を延ばすという点においてはメンテナンスが欠かせません。ですが、長く住める住宅づくりという点では、メンテナンスだけでなく、建築計画も重要になります。快適かつ長く住める住宅にするためにも、建築計画は入念に進めていくことをおすすめします。
まとめ
木造住宅の寿命は30年~80年と言われます。ただし、メンテナンスを怠れば当然、寿命は短くなります。また、住宅の構造や間取り次第では、20年後や30年後のリフォームが難しく、建て替えが必要になる場合もあります。木造住宅を検討している方は、そうした注意点があることも踏まえて、購入するかどうか検討していきましょう。