親世帯と子世帯が同じ屋根の下で暮らしを送れる二世帯住宅。今では聞き慣れた住まいの形と言えます。では、三世帯住宅はどうでしょうか。詳しく知らない方は多いはずです。そこで今回は三世帯住宅の基本から、そのメリット・デメリットまでご紹介します。
三世帯住宅とは?
三世帯住宅は文字どおり、三世帯が同じ屋根の下で過ごす住宅のことです。一般的には親世帯と子世帯、孫世帯で構成されます。しかし三世帯住宅では、必ずしも身内だけが一緒になるとは限りません。親世帯と子世帯に加え、血のつながりがない世帯が同じ住宅で暮らしを送ることになるケースもあるのです。このように、二世帯住宅より組み合わせの幅が広がるところに三世帯住宅の特徴があります。
三世帯住宅のメリットとは?
では、三世帯住宅にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
・建築費用を抑えやすい
通常なら一戸建て住宅を建てるとき、ひとつの世帯が費用を負担します。しかし一緒に住む世帯が多くなれば、その費用を世帯ごとで分けることができます。結果、ひとつの世帯にかかるコストが減り、そのさきの生活にゆとりを持たせることができるようになります。
・「小規模宅地等の特例」を受けられる場合がある
「小規模宅地等の特例」は、土地などを相続するときに一定の要件を満たすことで、相続税の課税評価額が50%から最大で80%減額される特例のことです。親世帯、子世帯、孫世帯が一緒に暮らす三世帯住宅では、同居親族(同じ家に住んでいる親族)に当たるため、小規模宅地等の特例の対象となる場合があります。この特例を受けられれば、相続時の税負担を抑えることができます。
・育児のサポートを受けられる
小さい子どもがいる世帯であれば、同じ屋根の下にほかの世帯がいることで、育児をサポートしてもらえます。また、親世帯であれば子世帯や孫世帯と一緒に住むことで、生活のサポートをしてもらいやすくなります。このようにそれぞれの世帯で起こりえる負担を、世帯同士で支え合えるところも、三世帯住宅のメリットと言えます。
三世帯住宅のデメリットとは?
三世帯住宅にはメリットだけでなく、デメリットもあります。メリットとともに把握しておきましょう。
・プライバシー対策が求められる
三世帯住宅では、それぞれの世帯のプライバシーを確保する必要があります。プライバシーがない住宅では、常に心身が休まらず、充実した暮らしを送ることが難しくなります。一般的に複数の世帯が住む住宅では「完全共用型」「部分共用型」「完全分離型」の3つのタイプがあります。通常、共用する設備が少ないほうがプライバシーを確保できます。しかしその一方でコストが膨らむ傾向にあります。どこまでプライバシーを維持する必要があるか。事前に三世帯で一緒に考えておきましょう。
・生活音に配慮する必要がある
基本的に生活スタイルは世帯ごとで異なります。これは三世帯住宅でも同じです。そのため親世帯と子世帯・孫世帯との生活時間帯のズレから、音に関するトラブルが起きることも決してないとは言い切れません。三世帯住宅では、それぞれの世帯が音に対して一定の配慮が必要になります。また、住宅を建てるときにしっかりと防音対策を施しておくことも重要です。
・売却しにくい
現状、三世帯住宅は一世帯住宅や二世帯住宅よりニーズがありません。したがって、将来的に売却したいと思っても、そう簡単に買い手が見つかるとは限りません。また、「完全共用型」「部分共用型」「完全分離型」によっても売却の難易度が変わります。三世帯住宅にはこのようなデメリットがあることも覚えておきましょう。
まとめ
三世帯住宅には二世帯住宅と同様、さまざまなメリットがあります。ですが、プライバシーの部分や間取りのことなどをきちんと決めておかなければ、後々後悔する可能性がある住宅でもあります。三世帯住宅を前向きに考えている方は、同居する人たちとよく話し合ったうえで理想の住宅をつくっていくとよいでしょう。