かつては日本の住宅に必ずあった和室。最近では、そんな日本ならではの空間をつくらない住宅も増えてきています。しかし、これから注文住宅を建てようとしている方のなかには、和室の設置を検討している方もいるでしょう。そこで今回は和室のメリット・デメリットから、和室はつくるべき空間なのかどうか考察していきます。
注文住宅に和室を取り入れるメリット・デメリットとは?
どうしても古くさいイメージがある和室。しかし和室には以下のようなメリットがあります。
・用途の幅が広い
・畳独特の香りにリラックス効果がある
・畳には湿度調整効果がある
畳は人が落ち着く香りを放ち、さらにフローリングよりやわらかいという特徴を持ちます。これらの特徴により、和室は客間としてだけでなく、家族の休憩スペースとして活用したり、子どもの遊び空間として使ったりすることもできます。また、「宿泊スペース」「家事スペース」「仏間」として用いることも。このように用途の幅が広いところは和室の大きなメリットと言えます。
ですが、その一方で和室には以下のようなデメリットもあります。
・畳を汚したときの清掃が手間に感じる
・畳や襖(ふすま)、障子は定期的なメンテナンスが必要になる
・家具の重みで畳に跡がつきやすい
たとえば、飲み物をこぼしたとき、フローリングであれば拭き取ることでキレイになります。しかし畳の場合は拭き取るだけでなく、畳から水分を吸い取らなければなりません。また、畳や襖、障子は時間の経過とともに劣化していくものです。したがって定期的に張替えなどのメンテナンスも必要になります。洋室と比べると、清掃や管理の手間がかかるところは和室ならではの短所といえるでしょう。
注文住宅に和室はいる?いらない?
それでは和室の必要性について考えていきましょう。
全国の20歳以上の男女に、自宅に和室が必要かどうか聞いたあるアンケートによると、約70%の男女が「必要」と回答したそうです。
理由としては「布団を敷けばすぐに寝られるため、子どもを育てる空間として便利」「来客者の泊りに対応できるから」などが挙げられています。このことから多くの人は、自宅に和室を設置したほうがいいと考えていることがわかります。
しかし一方で、注文住宅を建てる際、和室はいらないと思う人もいます。実際に上記のアンケートでも約30%の人が和室は不要と考えています。そうした人たちの理由としては「なくても生活できる」「メンテナンスに手間がかかる」が挙げられています。
このように「必要」「不要」の意見があるなか、ご自身の住宅に和室を取り入れるべきかどうかどのように決めればいいのでしょうか。ここで考えて欲しいのが「すべての空間の用途が決まっているかどうか」です。
間取り計画の段階で、すべての空間の用途が決まっている場合、新たに和室をつくらないでいいかもしれません。すでに将来の暮らしの送り方を想定して、各空間が設けられているはずだからです。
ですが、間取り計画のときに確実に用途が決まっていないスペースがあるなら、そこは和室にすることを前向きに検討してもいいかもしれません。和室はさまざまなシーンで活用できる便利な空間だからです。昼は客間、夜は寝室、というように、柔軟に活用の幅を広げることもできます。
注文住宅に和室をつくろうかどうか迷っている方はまず、すべての空間の用途が決まっているかどうか確認し、決まっているならつくらない、決まっていないならつくる、というように考えてみてください。もちろん、家族としっかり話し合うことも重要です。
まとめ
和室が必要だと考えている方は意外に多いです。しかし、和室の必要性は人によって変わります。また、和室には長所もあれば短所もあります。この両面を踏まえつつ、家族とも相談しながら和室を取り入れるかどうか考えていくようにしましょう。