昔ながらの住宅に多く見られる縁側。かつてはどの住宅にもありましたが、ライフスタイルが変化した現代では、縁側を設置していない住宅が増えています。しかし、縁側は昔ながらの知恵がたくさん詰まった場所。じつは、さまざまな魅力を備えている部分なのです。今回は縁側のメリットとデメリットをご紹介します。
縁側をつくるメリットとは?
はじめに縁側のメリットからチェックしていきましょう。
・フラットなつくりにすれば空間を広く見せられる
縁側のメリットとしてまず挙げられるのが、工夫次第で開放感のある空間をつくりやすくなることです。たとえば、部屋の床と縁側の高さを平坦にすれば、その空間を広く見せることができます。また、部屋の天井材や床材を縁側の素材と統一すれば、より開放感を得られる空間になります。このように開放感のある空間づくりに貢献してくれるところは、縁側ならではの魅力と言えるでしょう。
・室内の温度をコントロールしてくれる
縁側には室内の温度を調整してくれる働きも期待できます。外部に縁側を設ける場合、幹を設置すれば、室内に日陰部分をつくれます。また、内部に縁側をつくれば、その空間が内部と外部のクッションスペースとなり、直射日光が室内に直接、射さなくなります。結果、夏は冷房効果を高めることができますし、冬は冷たい外気が室内に侵入するのを防ぐことができます。このように室内の温度をコントロールできる部分も縁側をつくるメリットと言えます。
・家族のコミュニケーションの場になる
縁側と言うと、無機質なつくりをした部分、というイメージがあるでしょう。しかし最近では、さまざまなアレンジが加えられ、おしゃれな縁側も増えてきています。ウッドデッキ風にしたり、モダンな素材を使ったりと、自由な発想で縁側が設置されています。このように過ごしやすい工夫が加えられた縁側であれば、家族で利用する時間も増え、活発なコミュニケーションを生み出してくれます。
縁側をつくるデメリットとは?
さまざまなメリットがある縁側ですが、一方で以下のようなデメリットも。
・プライバシーの問題が出やすい
縁側を設けた住宅では、そのつくり次第で歩道から縁側がまる見えになることがあります。これは外部に縁側を設けた場合に起こりやすい問題ですが、視線が気になったままだと心からリラックスして過ごすことが難しくなります。また、防犯の面でも不安です。縁側にはこうした問題が出やすいというデメリットがあります。外部に縁側を設けるときは、歩道からの視線を遮る工夫が必要になります。
・住居スペースが狭くなる可能性がある
敷地内に建てられる住宅の大きさは建築基準法によって決まっています。そのため縁側の広さや大きさ次第では、思ったより住居スペースが狭くなる場合があります。逆に縁側をつくりたくてもスペースが足りず、イメージどおりの住宅にならなくなるケースも。制限があるなかで、どのように理想の住宅を建てていくか。建築計画を立てる段階でしっかり検討するようにしましょう。
・メンテナンス費用がかかる
縁側は経年とともに劣化します。特に外部に設けた場合、風雨や直射日光などによって傷みがひどくなっていきます。造りや素材にもよりますが、こうした劣化を放置したままでは、いきなり床が抜けるなど思わぬアクシデントに見舞われるリスクが高くなります。このリスクを軽減する方法がメンテナンスなのですが、当然のことながらメンテナンスは費用がかかるものです。縁側の状態次第では、その費用がかさむ可能性も。このように家計に負担がかかるところも縁側のデメリットと言えます。
まとめ
ライフスタイルの変化によってあまり設置されなくなった縁側ですが、使い方によっては現代でも十分、有効に活用できる部分です。むしろアレンジを加えることで、住宅を洗練させることができます。これから住宅を建てようとしている方は、ぜひ縁側の設置を検討してみてはいかがでしょうか。