高さがある2階建て住宅や3階建て住宅とは違い、横に広い平屋建て住宅。じつは「地震に強い」という特徴があることで知られています。しかし、どうして地震に強いのか…。その理由を知っている方はそれほど多くないのではないでしょうか。そこで今回は、平屋建て住宅が地震に強い理由をご紹介します。
平屋建て住宅が地震に強い理由
平屋建ての住宅が地震に強いと言われる理由は大きくわけて2つあります。
・つくりがシンプル
2階建て住宅や3階建て住宅より、平屋建て住宅は比較的つくりがシンプルです。建物を建てるときは主に正方形や長方形などの形が採用されます。このシンプルさによって天井や壁、床などがうまく家を支えてくれています。そのため、地震が起きたときも震動の力が分散されやすく、倒壊のリスクを抑えられるのです。一方、形がいびつな建物は震動の力が一点に集中しやすく、倒壊するリスクが高くなります。
・高さがない
建物は高ければ高いほど震動の影響を受けやすく、地震が起きたときに揺れが大きくなりがちです。平屋建ては高さがないので、地震が起きてもあまり揺れず、それによる建物の負担もそれほど大きくありません。建物の負担が小さければ、倒壊する可能性も低くなります。
建物によって構造が違うため、一概に「2階建て住宅や3階建て住宅より、平屋建て住宅のほうが耐震性に優れている」とは言えません。ですが、平屋建て住宅は、上記のような構造によって比較的、耐震性が高い傾向にあります。
古い平屋建て住宅も地震に強い?
では、古い平屋建て住宅は耐震性に優れているのでしょうか。
中古の平屋建て住宅は購入費用が安くなりやすいなど、メリットがたくさんあります。ですが、古い平屋建て住宅も経年とともに劣化していきます。天井や壁、廊下に使われている材料はもちろん、家を支えてくれる柱が腐食していることもあるでしょう。そうした平屋建て住宅は耐震性にマイナスの影響を与えている可能性があります。
また、耐震性を計るうえで築年数も参考になります。1981年5月31日を境に建物を建てる際に担保しなければならない耐震性の基準が変わりました。
この日以前に建てられた建物は「旧耐震基準」、この日以降に建てられた建物は「新耐震基準」が満たすべき条件となります。おおまかには以下の内容です。
・旧耐震基準:震度5強程度の揺れでも倒壊しない
・新耐震基準:震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない
そのため、旧耐震性基準のときに建てられた平屋の場合、建物の劣化も重なって耐震性には不安が残るかもしれません。古い平屋建て住宅の購入を検討している方は一度、耐震診断をしてもらうとよいでしょう。
平屋建て住宅の耐震性をより強くするためには
近年、建物の倒壊を引き起こすような大きな地震が発生することも珍しくなくなってきました。比較的、震動に強い平屋建て住宅とはいえ、そうした地震が起きたときに倒壊のリスクがないわけではありません。
そのため、より高い耐震性となるように設備の強化を行なうことも大切になります。以下、耐震性を高められる方法を簡単にまとめてみました。耐震性を強化したいときの参考にしてください。
・壁に補強用合板や筋交いを設ける
・壁自体を増やす
・柱と天井、柱と床の接合部分に耐震用金具を設置する
・屋根を軽くする
また、建物を建てる際に最大限の耐震性となるような施工技術を用いたり、素材を使用したりすることも家の強度を高められることにつながります。
まとめ
平屋建て住宅は比較的、耐震性に優れた住宅と言えます。ですが、いつ建物の倒壊を引き起こすような大地震が起きるかわかりません。新しい住まいとして平屋建て住宅を選ぼうとしている方はもともとの耐震性に油断せず、より地震に強い家をつくっていくようにしましょう。それが、安心の暮らしを送れることにつながります。